ぺやんぐ(@peyangu485)です。
今回は、ハンス・ロスリングさん、オーラ・ロスリングさん、アンナ・ロスリング・ロンランドさんの書籍「FACT FULLNESS」のメモ。
2019年のベストセラー作品。
遅くなったけど、読み終わったので感想を書いていく。
- はじめに
- 第1章 分断本能
- 第2章 ネガティブ本能
- 第3章 直線本能
- 第4章 恐怖本能
- 第5章 過大視本能
- 第6章 パターン化本能
- 第7章 宿命本能
- 第8章 単純化本能
- 第9章 犯人捜し本能
- 第10章 焦り本能
- 終わり
はじめに
2019年ベストセラーの本をやっと読み終わった。
普通にテレビやネットで流れてくる情報だけでは、脱せない思い込みがあった。
冒頭の13問のクイズはほとんど不正解だった。
「世界はこうなんだ」という思い込みがすごくあったことを実感した。
本書を読み終えて、少し世界の見方が変わった気がする。
第1章 分断本能
実は分断なんてものはなくて、大半が中間に属している。
「先進国」「途上国」というくくりはもう存在しない。
大半がその中間もしくは「先進国」よりになってきている。
分断とは言えない分布になっている。
自分の中でも、やはり分断していた。
アフリカの人は今でも貧しい生活をしている「途上国の人」という認識だった。
しかし、向こうにはスマホも普通にあるし、想像以上に近代的な生活をしている。
たしかに、日本と比べればまだまだかもしれないが、そう遠くない未来に日本と変わらない生活ができるようになっているんだろうなと思った。
分断本能はついつい出てくるもの。
分けたがりな面とその方が楽という点から安易に分断してしまう。
何事も極端な2択が大半なのではなく、中間層が一番多いのだろうと思った。
単に極端な例が目に付くだけなんだろう。
第2章 ネガティブ本能
ネガティブなニュースの方が耳に入りやすいだけで、世界は確実に良くなっている。
ニュースを取り上げる側は、インパクトがある方を優先して流す。
だから、毎日ネガティブな情報を目にする。
だけど、分断本能でも触れたように「途上国」と思われていた国の生活は確実に良くなっている。
そういったポジティブなニュースはあまり流れない。
たしかに、局所的に見ると「悪い事」は起こっているのは合っているが、それは大局的に「悪くなっている」とイコールではない。
飢餓に苦しんでる人は減っているし、赤ちゃんの死亡率も下がっている。
自然保護の数は増えているし、識字率も上がっている。
世界は確実に良くなっている。
日々流れてくるネガティブで悲観的にならないように気をつけようと思った。
第3章 直線本能
世界中の色々な数字をグラフにすると、ほとんどが直線にならない。
例を出すなら、「人口は増え続けるのか?」という問いにどう思うかで分かると思う。
直線的に増えるだろうか?
実はそうでもない。
生活が豊かになった国は出生率が下がっている。
なぜか?
子どもの死亡率が低いから。
少しでも存続することを目的にする必要がなくなったから。
この国においては、「育てる資金がない」という理由はあるにはあるが、だからといってあっても10人も子どもは作らない。(例外はいる)
世界が良くなればなるほど、増加はゆるやかになり、そして停滞する。
他には、理解度のグラフや集中力のグラフなども直線ではないし、ダイエットしたからといって直線的に体重は減らない。
子どもの身長も伸び続けない。
「世界は直線で語れるほど簡単ではない。」
第4章 恐怖本能
あいまいな「恐ろしさ」ではなく、「リスク」を見る。
表に出てくるのはセンシティブなものばかり、一見恐ろしいし、世界が悪くなっているように見える。
が、「本当に恐れないといけない事か?」という視点が必要。
そのためにも落ち着いてリスクを計算する。
普段乗らない飛行機のリスクとそこそこ乗る自動車のリスクは同じか? →事故のニュースを見て「怖いなぁ」と思おう野は両方ともだが、本当に恐れないといけないのはどっち?
恐怖は簡単に普段と違う行動を呼ぶ。
落ち着こう。
第5章 過大視本能
1つの数字がすべてではない。
惑わされず、比較や割合を計算して、相対的に見るのが大事。
大きな数字を見せられると、重大なことだと思ってしまう。
だけど、実は割合的には1割だったりする。
最近で言えば、コロナの陽性者数のみの報道。(※メモ書いた時点)
検査数と合わせて割合を見てから、まずいのかどうか判断しないといけない。
単一の数字ではなく、別の軸の数字がないか気をつける。
第6章 パターン化本能
少数の例から、それが所属するグループ全体に当てはめてしまう本能。
パターン化自体は必要だが、やりすぎるとゆがんだ認知になっていく。(個別で見ることをしなくなったり……)
本当にその分類でパターン化してもいいのか疑うことが大事。
これは思い当たることが多い。
パターン化して個別を無視する方が楽だから、ついやってしまう。
印象に残ったものを基準にしてしまうので気をつけたい。
第7章 宿命本能
物事が今のままあり続けると思ってしまう本能。
「貧しいところは貧しいまま」、「会社のやり方はずっと変わらない」などそんなことはないのにそう思い込んでしまう。
広い視点で見たとき、すごく変化していることに気づけるが、つい目の前のことがそのまま続くと思ってしまう。
変えたいなら、意外と簡単に変えられるのに「どうせ変わらない」と本能に引っ張られてしまうので気をつける。
進歩に目を向ける。
世界はいい方向に進んでいることに気づく。
第8章 単純化本能
問題にはいろいろな側面があるのに、1つの答えで全ておさまると単純化して考えてしまう本能。
シンプルな答えで解決することは少ない。(違う面では、それは答えではない可能性)
プログラムを書いていても、「あ、これで直るわ!これでいこう」と1つの答えだけで、進めようとついついやってしまうが、その答えが本当に有用なものかは、分からない。いろいろな側面から問題を見ることが大事。
「思考の癖」に気をつける。
シンプル イズ ベストではないこともある。
第9章 犯人捜し本能
「なにか悪いことが起きたとき、単純明快な理由を見つけたくなる傾向」
ついつい、誰かのせいにしたくなるけど、よく考えたら誰も悪くないということがある。
誰かのせいにすることで、やり場のない怒りをぶつけられるので、ついやってしまいがち……。
「あいつが悪い、あいつを責めよう」とすることで問題が単純になり、しかも大義名分があるので正義を執行している快感も得られる。SNS上でよく見るのもある意味仕方がない……。
だから、自分はすこしでもそうならないように理解する必要がある。
犯人捜しではなく原因を解決することが大事。
仕組みの改善を訴えよう。
第10章 焦り本能
「今やらないと次はない」など焦らされる言葉を聞くと、途端に思考力が低下して、よく考えずに行動してしまう本能。
セールや「今やらなきゃ!」といったものには一息ついて落ち着こう。
steamでよくこの本能に振りまわされている。そして出来上がる積みゲーの数々……。
笑いごとで済むからいいが、物事によっては取り返しがつかないこともある。
仕掛ける側としては、非常に有利に立てるのでこの手を使ってくることが多い。乗せられないように気をつけないと……。(steamのセールには踊らされないぞ!)
今すぐ決めないといけないことはめったにない。
本当に今しないと損をするのか、落ち着いて考えよう。
終わり
この本は、ハンスとの旅路のような気がした。
「ハンスが10の思い込みについて解説しながら、一緒に理解していく」
そんな感想を持ちながら読み進めた。
私は、本を読むと著者や登場人物の声を脳内であてるのだが、ハンスは常時楽しそうに話していた。
「実はこうなんだよ。私もこれにやられたよ」って笑いながら話している。そんな光景が浮かんだ。
なかなか分厚い本だったが、こんなにわくわくしながら読んだのは久々だった。
あとがきでハンスが亡くなっていることを知った。
10章を共に旅した彼はすでにこの世にいない事にすごく悲しんだ。会ったこともないのに。
これから生きていく中でこれを基礎に置きながら、少しでも世界を良くしたり、ネガティブになりすぎないようにしていこうと思う。それが彼との約束のような気がする。
もちろん、この考えは時代に応じてアップデートすることも忘れない。
今のタイミングで読むことができて本当に良かったと思う。